あなたはビルメンに向いている?【仕事内容を解説します】
「ビルメンテナンスという仕事に興味を持ったのだけど、具体的にどんな仕事なんだろう? 」
という方に向けて、ビルメンテナンスの仕事内容を説明いたします。
記事の後半ではどういう人がビルメンテナンスに向いているかを解説しますので、参考にしてみてください。
この記事を書いている僕は、ビルメンテナンス会社で11年、現場と本社の両方を経験しています。現場で実際に体験したことはもちろん、本社業務ではいろいろな現場を見てきましたので、幅広い知識でお伝えしていきます。
ビルメンテナンスの仕事内容
「ビルメンテナンス」=略称「ビルメン」。
仕事内容をひと言でいうと、「ビルを利用する人たちがいつも安心して快適に過ごせるようにすること」です。
実は、ビルの中には様々な設備があります。
・電気を供給するもの
・室温を調整するのも
・水を供給するもの
・火災を防ぐもの
・セキュリティを監視するもの
などなど
これらの設備が問題なく動いているか監視したり、おかしなところがないか点検したり、故障したときには修理の手配をしたりします。
また、ビル内でのいろいろなルールを守ってもらうように、作業届を提出してもらったり、トラブルがあったときに対処したり。ビルメンにはそういった役目もあります。
なお、ビルメン会社には、設備を管理する仕事のほかに、ビルの清掃や警備などの業務や、それらを統括する業務を行う会社もあります。
それらを含めて「ビルメンテナンス業」と言います。
その中でも、設備管理のことを指してビルメンという場合が多いです。
この記事でも設備管理をメインに説明しています。
管理するビルによって仕事内容に違いがある
「ビル」というと、代表的なのは「六本木ヒルズ」とかでしょうか。これはビルの中でもかなり大規模なものになりますが、もっと小さな、雑居ビルと言われるようなものもあります。
また、それらはいわゆるオフィスビルですが、ショッピングモールなどの商業施設や、ホテル、病院なども、ビルメンの仕事範囲になります。
そして、ビルメンの仕事は、ビルの規模や、用途(オフィス・商業・ホテル・病院)によっても違ってきます。
ビルの規模による勤務パターンの違い
- ①:大規模ビル 24時間365日をローテーションで勤務
- ②:中規模ビル 平日の日中にビルに常駐する
- ③:小規模ビル 拠点からビルに行って点検など行う
順番に説明していきます。
①:大規模ビル 24時間365日をローテーションで勤務例えば、先ほども出てきた六本木ヒルズのような超高層ビルや、大型ショッピングモールなどのイメージです。(もう少し小さなビルも含まれます。)このようなビルには「防災センター」や「設備管理室」という場所があり、そこで勤務することになります。
管理体系としては、規模に応じて10~30人でローテーション勤務をします。おもに日勤と宿直のローテーションです。 (勤務例)
→日勤、8:30~17:30まで
→宿直、8:30~翌日の8:30まで
日勤は、普通に朝から夕方までの仕事です。
宿直は、朝に来て次の日の朝に帰りますが、仮眠時間もあります。
仮眠時間は22時から5時までの場合が多いです。 また、この時間も交代で起きてないといけない現場もあります。(3人で宿直の場合の例)
→Aさんは22:00~24:00起きてる
→Bさんは24:00~2:00起きてる
→Cさんは2:00~5:00起きてる
宿直が8:30で終わるとその日の仕事は終了。次の日も基本的には休みになります。
②:中規模ビル 平日の日中にビルに常駐するだいたい10階建てくらいのビルが該当します。1~3人で勤務する現場になります。こちらもビル内の「設備管理室」などでの勤務となります。
基本的には、大規模ビルで説明した「日勤」の勤務になります。中には土日に出勤する場合もありますが、その場合は平日のどこかが休みになるか、残業(休日出勤)扱いになります。
③:小規模ビル 拠点からビルに行って点検など行う中規模ビルよりもさらに小さなビルが該当します。雑居ビルなどもこれにあたります。
そのビル内には通常はおらず、拠点となる場所から出動して、点検などを行います。先ほどの2つのようにビルに常駐するのを「有人管理ビル」というのに対し、その都度に出動するのを「無人管理ビル」といいます。
無人管理ビルは、常にそのビルにいる必要がないため、担当ビルを1人で5ビルくらいを掛けもったりします。月一回の点検時や、何か不具合があったときにだけ、ビルに行きます。出勤は平日です。
ビルの用途による違い
オフィス、商業施設、病院、ホテルなど、ビルといってもいろいろな用途があります。これらの用途によってビルメンの仕事にも違いがでてきます。
オフィスビル:比較的楽です。
ただし、テナントの数が多いと、しょっちゅう入退去があるので、そのたびに入退去工事が発生します。そうなると、工事業者の出入りの管理や、騒音や臭いが発生する作業に管理など、忙しくなります。
商業施設:不特定多数の人が出入りするため、トラブルが多いです。
いたずらや、不審者への対応が多いです。また、商業施設は、平日よりも土日のほうがお客さんがたくさん来ます。そのため、土日の勤務者を増やすので、土日の勤務が多くなります。
病院:医療設備が使えなくなると人命にかかわる場合もあるため、ミスが許されません。
ホテル:お客様が第一優先となります。
客室での設備の不具合は、即対応しなければなりません。また、設備の点検は宿泊客に迷惑がかからないように実施しなければならないので、スケジュールを組むのが大変です。
緊急対応や事務作業もある
ビルの設備が故障して使えなくなってしまった場合や、台風、地震、雪などの場合には緊急での対応が必要になります。
設備故障:軽微なものであれば自分たちで直しますが、自分たちで直せない場合は専門業者を手配します。また、テナントに迷惑がかかる場合は、状況の説明やどれくらいで直るのかを説明します。
雪:朝早く出勤し、ビルのテナントさんなどが来る前に、出入り口まわりの雪かきをしてます。
台風:臨時でビルに泊まって、漏水などの不足の事態に備えることもあります。
地震:ビル内で異常が発生していないか確認します。また、安全のためにELV(エレベーター)が停止することもある。その場合は、ELVの中に人がいないか確認したり、ELVのメンテナンス会社に連絡して点検してもらいます。
現場によっては、休みの日でも呼び出されることがあります。(特に、中・小規模ビルに多い。大規模ビルは常に勤務者がいるため、その人が対応する。)こういったケースは年に何回かではありますが、これもビルメンの仕事なんです。
事務仕事としては、まず日報や月報の作成があります。設備故障やトラブル時は、不具合報告書の作成もしますし、会社によっては、修理見積書の作成を現場でやることもあります。
また、設備機器の修繕履歴の作成、鍵の保管管理、作業届の提出管理など、事務的な作業もそれなりに多いです。
あなたはビルメンに向いている?
仕事内容についての説明はここまでとなりまして、ここからはどのような人がビルメンに向いているのか、僕の考えを紹介したいと思います。
ビルメンに向いている人
- その①:あまり忙しく仕事をしたくない人
- その②:いろいろな知識を覚えるのが好きな人
- その③:この仕事にやりがいを見いだせる人
順番に解説します。
その①:あまり忙しく仕事をしたくない人ここまでの説明を読んで、ビルメンの仕事は大変そうだなと思ったかもしれません。宿直やら休日出勤やら、雪かきまでありますので。
しかし、ビルメンの仕事は楽だともよく言われます。何が楽なのかというと・・普段の仕事量がそんなに多くないことかなと思います。
これは配属されるビルによっても違うので、一概にはいえません。ですが、楽な現場があることも事実です。
また、他の仕事と比べても楽だと思います。その目的で転職してくる人も多くいます。私がいる会社の人で、以前は1年おきくらいに転職を繰り返してたそうですが、この会社では10年以上も続いているという人もいます。
ただし、割と忙しい現場もあります。
たとえば、記事の前半でお話しした小規模ビルなどです。小規模ビルを担当すると、5~10ビルくらい掛け持つことになります。そうなると、月報などの報告書もビルの数だけ作成が必要になりますし、行政への届出書類なども同じように必要になります。それらの事務作業により、残業が発生したりします。
このように、ビルメンの中でも忙しい現場もありますが、総合的に見るとそんなに忙しくない仕事だといえます。
その②:いろいろな知識を覚えるのが好きな人ビルの設備にはいろいろな種類があるため、その分の知識も必要となります。
電気設備、空調設備、熱源設備、給排水設備、消防設備、自動制御設備、セキュリティ設備、昇降機設備、、、挙げるときりがないですね。
これらの知識をざっくりと知っておく必要もありますし、深く知ればそれだけちゃんとした管理ができます。
また、それらに関連したたくさんの資格の取得も必要となります。資格のことはまた別の記事でお話したいと思いますが、資格をたくさん持っているほど仕事の幅が広がります。
「知識だけ」で仕事ができるわけではありませんが、知識があると仕事の質が上がります。 (実は給料も上がります。)
以上より、知識を覚えるのが好きな人はビルメンに向いているといえます。
その③:この仕事にやりがいを見出せる人ビルメンの仕事は、ただ言われたことだけをやるなら、やりがいはあまりありません。毎月決まったルーティンの仕事が多く、仕事内容も点検表に沿って点検を行うなど、それほど難しいものではありません。
また、業務の中には、トイレ詰まりの対応もあります。(よくネタにされる話ですね。)
そんな仕事だけではありませんが、そういった、まあつまらない仕事もやらなくてはなりません。 そのため、やる気のない社員も多くいます。
その中でもやりがいを見出し、前向きにビルメンの仕事をしている人はたくさんいます。建物の中で働いている人を、我々が支えているんだという気持ちで仕事をしている人たちです。
ビルメンはサービス業である
「ビルメンはサービス業である」入社したときから口すっぱく言われた言葉です。
普段は表に出ることはあまりありませんが、ビルを利用する人が安心して快適にすごせるようにするのがビルメンの仕事です。
電気が使えなかったり、水が出なかったり、空調が使えなかったりといったことが起きれば、当然、快適とは言えませんよね。緊急時に対応がもたついていたら、当然、安心とは言えないですよね。
このように、ビルを利用する人たちがいつも安心して快適に過ごせるようにすること、そういった空間を提供するサービス、それがビルメンの仕事の本質だと思ってます。
とは言っても、僕も最初は社会人として仕事をやっていけるのか不安に思っていまして、こんな自分でもやっていけそうかもという理由でビルメン会社に就職しました。(そして、気がついたら11年働いてます。)
ということで、ビルメンテナンスの仕事内容についてのお話でした。ここでお話ししきれなかったこともたくさんありますが、この記事が少しでも参考になればうれしいです。