「ビルメンが取るべき資格」をできるだけ分かりやすく解説してみた

資格

資格が重要といわれるビルメンですが、ビルメンとして取るべき資格はだいたい決まっていて、他のブログなどでも紹介されています。しかしそれぞれの資格について、勉強する順番や難易度などが説明されていることは多いですが、なぜ取得した方が良いのかをまとめている情報は少ないように思います。

そこで、この記事では、それぞれの資格がなぜ必要で、どのような役割があるのかをザックリと分かりやすくまとめてみました。法的に必要な理由も書いておりますが、もっと詳しく知りたい場合はWikipediaなどで調べていただければと思いますが、この記事だけでもだいたいは分かるかと思います。

実際にビルメン会社で11年働いているなかでの感覚も踏まえて説明していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

この記事の内容

  • ビルメン取るべき資格
  • 4点セットと三種の神器
  • ビルメンにおける資格の重要性

ビルメンが取るべき資格

特に重要な資格は次の通りです。

  • 第二種電気工事士
  • 危険物取扱責任者乙種4類
  • 二級ボイラー技士
  • 第三種冷凍機械責任者
  • 消防設備士乙種1類または4類
  • 建築物環境衛生管理技術者
  • 第三種電気主任技術者第
  • エネルギー管理士

ビルメンとして少し働いていれば、だいたいの人が思い浮かぶ資格ではないかと思います。これら以外にも必要な資格はありますが、特に重要なものとして挙げました。これらの資格がなぜビルメンでは必要なのか、順番に解説していきます。おまけで、それぞれの試験の難易度も記載しておきます。

第二種電気工事士[難易度2 ]

文字通り、電気工事をするのに必要な資格です。ビルメンの場合、ちょっとした電気設備の修理は自分たちでやる場合があります。例えば、照明スイッチやコンセントが不良のときに交換したり、照明の安定期といわれる器具の不良のときに交換を行なったりします。

正確には、電気工事士を持っているからと言って電気工事が必ずしもできるわけではありません。建物の「受電電圧」によっては、後ほど出てくる電気主任技術者の選任が必要で、そのものが電気作業の管理をしなければなりません。その場合は、作業をする者は電気工事士の資格を保有している必要はないのです。ですが、必要でなくとも資格を保有している者に工事を行なってほしいと思う人が多いと思います。

危険物取扱責任者乙種4類[難易度1]

危険物を取り扱うときに必要な資格で、扱う危険物によって乙種1〜6類までがあり、全て扱える甲種というものもあります。乙種4類というのは、ガソリンや軽油、重油などを扱うことができます。ガソリンスタンドで必要な資格です。

ビルメンで扱う乙4の危険物というと、ボイラーの燃料として使用する軽油や重油などがあり、この資格が必要になります。ですがボイラーを設置するビルは減ってきています。そのほかに、非常用発電機の燃料も軽油や重油を使用しますが、こちらは資格の必要ありません。ただし、燃料を貯めておくタンクなどの点検などはやらなければならないので、知識があることの証明として資格を取得していることが望ましいという感じです。

二級ボイラー技士[難易度1.5 ]

一定規模以上のボイラーを取り扱う場合に必要な資格です。ボイラーとは蒸気や温水を作ることができる機械で、大型のビルではその蒸気や温水を空調用の熱源として利用しています。

そもそもボイラーが設置されていないビルや、資格のいらない小型ボイラーを設置するビルが増えているので、重要度は下がってきているといえます。また受験するための条件もあるので、後回しにしても良いかもしれません。ただし、大型のビルではボイラーが設置されてなくても、蒸気や温水を使用している場合が多いので、資格自体は不要でも知識があるに越したことはないです。

第三種冷凍機械責任者[難易度1.7 ]

冷水を作るための冷凍設備が設置してあるビルで必要な資格です。冷水は空調のための熱源として使用されます。こちらも、資格者の選任が必要な冷凍設備の設置が減っていたり、そもそも冷凍設備がないビルも多くあります。そのため、知識を証明するために取得するという目的が強いです。エアコンがどういう仕組みになっているのかなども理解することができます。

消防設備士乙種1類[難易度1]

建物には消防のための設備を設置する必要があるのですが、その設備がちゃんと使えるように定期的に点検する必要もあります。そして点検を行うには、消防設備士の資格が必要になります。

この資格は設備の種類によって1〜6類に分かれており、1類というのは「スプリンクラー」や「屋内消火栓」などの設備が対象になります。これらは火災が発生したときに水を出して火を消すために使用されます。「屋内消火栓」とは、ホースから水を放水する設備で、実はほとんどのビルでは屋内にこの設備が設置されています。「スプリンクラー」は一般的に知られてますが、こちらも基準によって多くのビルに設置されています。

ビルメンの業務として消防設備の点検は必須ですが、専門の点検業者へ外注する場合も多いので、必ずしも自分が資格を持っている必要はありません。ですが、資格によって知識があることの証明になります。

ちなみに、1類の前の乙種とありますが、ほかに甲種というのもあります。乙種は点検と整備ができ、甲種はそれらに加えて工事もできるという違いがあり、試験内容も少し難しくなります。

消防設備士乙種4類[難易度1]

先ほどの1類はスプリンクラーや屋内消火栓が対象でしたが、4類は「自動火災報知設備」や「ガス漏れ火災警報設備」などが対象です。これらは、火や煙、ガスを感知して警報を出す設備で、ほとんどのビルに設置されてます。

1類は水で火を消すための設備が対象で機械設備の分類ですが、4類は火を感知するための設備が対象で電気設備の分類になります。消防設備士の中でもこの2つは特に需要の多い資格です。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管)[難易度3.5]

ビルの環境衛生を管理するための資格です。ビルの延床面積が3,000㎡以上の場合、資格者を選任する必要があります。延床面積とは、建物の各階の面積を合計したものです。「延床面積が3,000㎡」というと、小学校のプールくらいの広さ(25m×15m=375㎡くらい)で、8階建てだとちょうど3,000㎡くらいになります。なかなかの大きさですね。

1ビルに1人の資格者が必要なため、需要はものすごく大きいです。実務としては、ビルの空気環境や給水・排水の管理、ねずみや害虫の対策、清掃の計画など。試験の範囲には、建築構造や設備についても含まれます。

電気主任技術者第3種(電験3種)[難易度5]

ビルの電気設備を管理するために必要な資格。最大電力が500Kw以上の場合は電気主任技術者の選任が必要となります。選任が必要な場合でも、規模によっては外部委託することもでき、電気保安協会などに委託することができます。

規模の大きなビルでは外部委託することはできないため、資格者の選任者が必要になります。電気設備にかかわる工事や点検などが、規定通りに行われているか管理・監督する役目があります。

エネルギー管理士(エネ管)[難易度5以上]

エネルギー使用量によって選任が必要な資格です。ビルメンで所有している人も少ない印象です。逆にいうと、所有していると他の人と差別化できるとも言えます。私は挑戦したことがないので正確な難易度は分かりませんが、電験よりも難しいと聞きます。

4点セットと三種の神器

それぞれの資格の説明は以上となりまして、続いては、ネット上でよく使われる4点セットと三種の神器について、少し解説しておきます。

4点セット

  • 第二種電気工事士
  • 危険物取扱責任者乙種4類
  • 二級ボイラー技士
  • 第三種冷凍機械責任者

三種の神器

  • 建築物環境衛生管理技術者(ビル管)
  • 第三種電気主任技術者第(電験3種)
  • エネルギー管理士(エネ管)

5点セット

「4点セット」+「消防設備士乙種1類または4類」

8点セット

「5点セット」+「三種の神器」

それぞれの資格で説明した通り、4点セットの資格は必ずしも持っている必要はない建物も多いです。むしろ三種の神器、特に「ビル管」や「電験三種」が必要な場合のほうが多いくらい。(私も記事をまとめて初めて気がつきました。)

それでも4点セットが不要なわけではなく、一定の知識があることの証明として重視されています。ビルメン求人の優遇資格として4点セットが書かれていることが多いことからも重視されていることが分かります。

また、4点セットにはそれぞれ上位の資格が存在します。たとえば「第二種電気工事士」の上位は「第一種電気工事士」、「二級ボイラー技士」の上位は「一級ボイラー技士」です。
上位の資格があるのに、それらは必要資格としてあまり話題に上がりません。その理由もやはり、資格自体が必要なのではなく、基礎的な知識として4点セットが重要だということを意味しているのだと思います。

ビルメンにおける資格の重要性

ビルメンにおける資格の重要性については、下の例で比べてみてもわかりやすい思います。

例①

・経験20年

・保有資格:危険物取扱責任者乙種4類

例②

・経験7年

・保有資格:第二種電気工事士、危険物取扱責任者乙種4類、2級ボイラー技士、第3種冷凍機械責任者、消防設備士甲種4類、建築物環境衛生管理技術者 

どちらを採用したいか一目瞭然かと思います。①だと経験20年もあるのに資格がこれだけしかないのは、何か理由があるのかと勘ぐってしまいますね。ちなみに、②で記載した保有資格は、私が取得している資格です。

まとめ

資格を取ることによって、手当がもらえたり、昇格もしやすくなります。そして、資格の勉強をすることによって知識も身につきます。資格の勉強のなかで覚えただけでは、完璧な知識にはならないですが、なにも知識がない状態よりは絶対に有利です。

また資格を持っているということは、一定の知識をがあることの「証明」にもなります。いくら知識があったとしても、資格を持っていないと説得力がありません。

ビルメンの資格は数も多く、取得するのが難しいものもありますが、焦らず時間がかかっても継続していくことが大事だと思います。

以上、ビルメンが取るべき資格についてのお話でした。